白戸はるみさん
「アート」という言葉を意識していなかったと思うのですが、中学生の頃『寺内貫太郎一家』というドラマがありまして、タイトル部分に横尾忠則さんがイラスト(似顔絵)を描いていて、その絵がすごくカラフルで面白かったんです。テレビドラマのタイトルにそういうの(イラスト)が出てくるという感覚がなかったので、すごく印象的で。そのときに「面白いな」と思ったのが最初だったと思います。
勤めてから、美術館などをまわるようになって、アートやデザイン・芸術とかがよくわかりませんでしたが、そういうのを意識し出したという感じです。
そのあと、「ナンシー関」という消しゴム版画家が亡くなった1回忌くらいのときに、青森市内でイベントがあったんです。「沼田家」というお屋敷を会場として。そこにボランティアとして参加したんですね。そのときに、国際芸術センター青森の方と知り合えたことで、アーティスト・イン・レジデンス事業に参加している作家を手伝いませんか?と電話をいただいて、手伝ったのがとても楽しかったんです。それから本格的に「アートってなんだろう?」とか、そういうふうなことに入って行く感じになりました。そして、AIRS(エアーズ。Artist in Residence Supportersの頭文字から命名)に入会したことでまずます身近になりました。
国際芸術センター青森にいらっしゃる作家さんの作業を手伝うことになって、「何でこんなこと考えるんだろう」とか「何でこんな風にできあがるんだろう」とか、そういう新しい驚き・自分が今まで考えたことのないような驚き、それがやっぱり楽しさにつながっていきました。
作品ができたときは「あ、こういう風になるんだ」という思いと、「え!なんでこんな風な・・・!最初に思ってたの違う」といった驚きですね、それがまた楽しみのひとつになりました。それが私にとっての魅力です。国際芸術センター青森にいらっしゃる作家の方は結構若い方が多いんですよね。AIRSとして作品制作を手伝いに行くんですけども、その中でもいつも驚きを与えてくれる、それもまた魅力です。なので、今の活動が続けられているんだと思います。
AIRSに入って十数年、国際芸術センター青森は20年。そしてAIRS自体も今年20年(二十歳)になります。先日、国際芸術センター青森に来た観覧中のお客さまにお話をうかがったところ「小学校のときに校外学習でここに来てたんですよ」という若いお父さんがいまして、「そっか、20年ということは小学生だった子がいま30代になるんだな」と思いました。これから、国際芸術センター青森を子どもの頃から知っている若い人たちが、次の世代としてどんどん来てくれるのかな?、そしてアートとかそういう作品に触れてくれるのかな?と、期待しています。AIRSも、そういう人たちと国際芸術センター青森をつないでいきたい。これからも、そしてできる限り「ここに来て良かった」と思ってもらえるような活動をしていきたいと思っています。